パルマ・カルチラ1913 トレーニングキャンプを終えて
寄稿|gritoゴールキーパーアカデミー代表(福島) 菅井 聡
前回、私は株式会社Pieceの海外留学を通してドイツのハーティンカップに同行した際に感じた、Pieceという組織の素晴らしさや価値について、ブログに綴らせてもらいました。
今回は、8月に福島で行われた、セリエA所属のパルマ・カルチラ1913によるトレーニングキャンプについて。
現場に立った一人の指導者として、私が感じたPieceの価値をレポートしたいと思います。
今回、小松原氏から「福島でパルマのキャンプをやらないか」と声をかけていただき、トレーニングキャンプを実施することになりました。
私自身、海外クラブとトレーニングキャンプを行うのは初めてでした。
「どのようなキャンプになるのだろう」
期待やワクワクがある一方で、正直なところ、不安もありました。
そして結論から言えば、今回のキャンプは大成功だったと感じています。
海外クラブを呼ぶだけでは、本当の価値にはならない
海外クラブが来日して行うトレーニングキャンプは、現在、日本でも数多く開催されています。世界的に有名なクラブのアカデミーやスクールが、日本でキャンプを開催することも珍しくありません。
一方で、私は以前から、こうしたキャンプに対して少し懐疑的な部分も持っていました。
「実際に指導するコーチはどのような人なのか」
「クラブのアカデミーで普段から指導しているコーチなのか。それともスクールを担当するコーチなのか」
「クラブのネームバリューだけが先行し、実際の指導や学びが十分に伴っているのだろうか」
日本の指導者や保護者の中にも、こうした疑問を持つ方は少なくないのではないでしょうか。
実は、私自身もその一人でした。
今回、私が一番気にしていたのは、
「選手や日本人指導者にとって、本当に良い学びや刺激が生まれるのか」
ということでした。
海外クラブのコーチに来てもらうこと自体が目的になってしまえば、せっかくの機会も十分に活かすことはできません。
選手にとっても、指導者にとっても、お互いにとって意味のある時間にできるのか。
そこが、今回のキャンプにおける私自身の一番の不安材料でした。
そして、その不安を払拭し、今回のキャンプを成功に導いた大きな要因の一つが、間違いなく小松原氏の存在だったと感じています。
Pieceがつくる「間に入る価値」
今回のパルマのコーチたちは、とても熱心で、素晴らしい指導力と情熱を持った指導者でした。ただ、彼らにとって日本の選手を指導することはもちろん初めてです。
さらに、40人から70人規模の子どもたちを指導しながら、日本人スタッフともコミュニケーションを取り、キャンプ全体を進めていくことは、決して簡単なことではありません。
ここで重要になるのが、海外クラブと日本の現場をつなぐ存在です。
海外の指導者にすべてを委ねるだけでは、どうしてもお互いが環境に慣れるまでの「タイムラグ」が生まれます。
海外の指導者が日本の選手や指導環境を理解するまでの時間。
そして、日本人指導者が海外の指導者の考え方や指導方法を理解するまでの時間。
この時間をいかに短くし、限られたキャンプ期間の中で、選手と指導者双方の学びにつなげていくか。
そこに、Pieceが間に入る大きな意味があると私は感じました。
今回、小松原氏は現場の状況を常に観察しながら、
「どうすれば海外のコーチが気持ちよく指導できるのか」
「どうすれば日本人指導者が海外の指導者とコミュニケーションを取り、より多くを学べるのか」
「どうすれば選手たちがより多くの気づきを得て、成長の機会にできるのか」
を考え、状況に応じて瞬時に動いていました。
それは単なる「通訳」や「運営スタッフ」という役割ではありません。
現場全体を見ながら、人と人をつなぎ、それぞれが最大限の力を発揮できる環境をつくる。
まさに「コーディネーター」としての役割です。
ピッチの中でも発揮されるコーディネート力
キャンプ中の小松原氏の動きを見ていると、そのコーディネート能力の高さがよく分かりました。
ピッチ内でも積極的に動き、さまざまなコーチに声をかける。
選手たちにも直接声をかける。
写真や動画を撮りながら、選手とコミュニケーションを取る。
全体を俯瞰しながら、必要に応じて保護者へのアナウンスも行う。
そして、イタリア語やポルトガル語、英語など、知っている単語を積極的に使いながら、海外のコーチたちともコミュニケーションを取っていく。
言葉だけではありません。
小松原氏の持つ陽気で気さくなキャラクターも、現場の雰囲気づくりに大きく影響していたと思います。
子どもたちにとっても、指導者にとっても、イタリア人にとっても自然と話しかけたくなる。
いわば「兄貴分」のような存在として振る舞いながら、人と人との距離を縮めていく。
サッカー小僧なら誰もが憧れるような、人間的な魅力を持った人だと感じました。
多くの人が一つになったキャンプ
今回のキャンプでは、小松原氏とパルマのコーチ2人、パルマの仲介コーディネーターの上原さんを中心にトレーニングを構築しながら、私のスクールコーチ3名、指導者仲間の助っ人コーチ2名、大学生2名、そして3名の通訳が関わりました。
最初からすべてが完璧だったわけではありません。
しかし、キャンプが進むにつれて、それぞれがコミュニケーションを取り、互いの役割を理解し、その瞬間に必要なことを判断して動く。
最終的には、関わったスタッフみんなが自然と一つのチームになっていました。
その結果、ピッチの中にはコミュニケーションと情熱が溢れ、とても良い雰囲気の中でトレーニングキャンプを行うことができました。
私は、この雰囲気をつくることができたのも、Pieceという組織だからこそだと強く感じています。
海外クラブの指導者を日本に呼ぶ。
それだけなら、さまざまな方法があります。
しかし、本当に価値のあるキャンプにするためには、海外から来た指導者と日本の指導者、そして選手たちの間に信頼関係を築く必要があります。
現場で何を求めているのか。
今、何が必要なのか。
誰がどのように動けば、選手たちにとって一番良い環境になるのか。
それを考え、行動に移すためには、たくさんのコミュニケーションと、人と人との信頼関係が欠かせません。
結局は「人と人」
今回のキャンプを終えて、私が一番強く感じたことがあります。
それは、結局のところ、すべては「人と人」なのだということです。
どれだけ有名な海外クラブを日本に呼んでも、どれだけ素晴らしい指導者が来日しても、それだけで選手や指導者にとって価値のある時間になるわけではありません。
そこにいる人たちが、
「この人たちにとって、少しでも良い時間にしたい」
そう思って行動するからこそ、相手を思いやるコミュニケーションが生まれ、自然と能動的に動くことができる。
今回のキャンプでは、それを強く実感しました。
海外クラブと日本をつなぐ。
海外の指導者と日本の指導者をつなぐ。
そして、選手たちの学びと成長につなげる。
その「つなぐ」という役割を、Pieceは単なる事業としてではなく、人と人との関係を大切にしながら実現している。
そこに、株式会社Pieceがもたらす海外クラブとのトレーニングキャンプの、本当の価値があるのではないでしょうか。
今回、パルマ・カルチラ1913とのトレーニングキャンプに関わることができたこと、そしてそこで多くの人と出会い、学び合えたことに、心から感謝しています。
この経験が、選手たちにとっても、日本の指導者にとっても、これからのサッカー人生につながる一つのきっかけになれば嬉しく思います。
寄稿
gritoゴールキーパーアカデミー代表(福島)
菅井 聡
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