国際遠征の魅⼒

国際遠征の魅⼒

Piece の国際遠征の魅⼒とは−他社とは⼀線を画す「想い」

本稿は、Piece の国際遠征に実際に参加した⼀⼈の指導者・教育者・保護者としての⽴場 から、その魅⼒や価値について考察したものです。 現在、⺠間企業による国際遠征や国際⼤会の企画が多く⾒られる中で、実際の様⼦や現場 の実情を正しく知り、これからの⼦どもたちの育成にとってより良い選択ができるように ──そう願って書き綴りました。

筆者:菅井 聡 (福島県の私⽴⾼校教員。ゴールキーパースクール運営。第 4 種〜第 2 種すべてのトレセンに関わり、国体・ ナショナルトレセンのコーチ経験を持つ。B 級ライセンス、GK ライセンスレベル 2 保持)

 2025 年にドイツで開催された国際⼤会「ハーティンカップ」において、⽇本⼈選⼿ 4 名とドイツ⼈選⼿ による混合チームを帯同指導しました。

 まず初めに今回、私が帯同した国際遠征のスケジュールを紹介する。 ハーティンカップ 2025(ドイツ)

 <今回のスケジュール>

 4⽉21⽇ 22時 ⽇本発 〜 4⽉28⽇ ⽇本 18時 着 ・現地での動き

1⽇⽬ 午前 フランクフルト空港に到着→ケルンに移動 午後 ケルンのカルクに⾏き同じチームになるドイツの選⼿たちと合流、⼣⾷を⾷べる→ノイ スに移動&ホテルに宿泊

2⽇⽬ 午前 デュッセルドルフに移動しウド⽒のトレーニング→ノイスに移動 街で昼⾷(ケバブ) 午後 オーバーハウゼンに移動しトレーニングマッチ→エッセンに移動し⼣⾷(ピザ) →ノイス ホテルに戻る

3⽇⽬ 午前 デュッセルドルフに移動しウド⽒のトレーニング→カルクで昼⾷(ハンバーガー) 午後 ケルンに移動しケルン観光(ケルン⼤聖堂→4711→街を散策) →カルクに移動しトレーニングマッチ→マクドナルドで⼣⾷→ノイスに移動 ホテル

4⽇⽬ 午前 デュッセルドルフに移動し、⽇本⼈指導者の指導実践(FP ⼩松原⽒、GK 菅井) クラブハウス内で昼⾷(サンドイッチ) 午後 ハーテンに移動しトレーニングマッチ→エスペルカンプに移動しホテルに到着 →エスペルカンプのレストランに移動し⼣⾷(ピザ)→ホテルに戻る

5⽇⽬ 午前 ハーティンカップ会場に移動し⼤会に出場 午後 試合を終えてフェルルへ移動 ドイツ 3 部リーグ試合観戦→デュッセルドルフに移動 ブンデスリーガ 2 部の試合観戦→デュッセルドルフの街へ移動し⼣⾷(ケバブ) →エスペルカンプ ホテルに戻る

6⽇⽬ 午前・午後 ハーティンカップ会場に移動し⼤会に出場し⼤会を終える チームのお別れ 移動中ヒュルホルシュトの菜の花畑で写真撮影→フランクフルトに移動 ホテル着 ⼣⾷はケバブ専⾨店

7⽇⽬ 午前 アイントラハト・フランクフルトの本拠地ドイチェ・バンク・パルクでグッズの買い物から ⼥⼦⽇本⼈選⼿ 千葉玲海菜選⼿と写真撮影) 午後 →フラクフルトの都市部に移動 マインタワー、街並み散策お⼟産の購⼊、 昼⾷ 街の出店でカリーブルスト →フランクフルト空港 に到着 ⽇本へ移動

まず、 piece 事業を紹介するにあたり piece の代表である⼩松原学⽒を紹介する。 彼がどんな⼈物なのか、 私との繋がりも含めて紹介していきたい。

○⼩松原 学 ⽒

⼩松原学⽒がどのような⼈物かを⼀⾔で表すなら、「型破りで、 情熱に満ちた冒険家」 だと⾔えるだろう。 もちろん「荒れくれ者」 という表現は冗談交じりではあるが、その⾏動⼒と⼈間性の奥深さを⾒れば、た だの型破りではないとわかる。おそらく誰よりも⼦どもたちの未来を考え、⼈の想いベースで旅をする 冒険家であると私は思う。 冒険家と例えた理由は、 彼ほど育成において現場主義を徹底し、 世界中を⾶び 回って実践を積み重ねている指導者を、私は他に知らない。SNS などで世界各国での活動の様⼦が頻繁 に発信されているが、それを真似できる⼈間は滅多にいない。 少なくとも、 私には到底真似できない(苦 笑)。 ⽬の前の課題に対して、 ⼼から「何とかしてあげたい」と願い、 ⾃分の体と時間を削ってでも全⼒で取 り組む。その姿勢は、 他者には⾒えにくい裏側の努⼒によって⽀えられている。もっとも、 本⼈はそれを 「努⼒」 とも思っていないのかもしれない。 ⼼から⼈の笑顔を⾒たい、 ⽇本⼈に、そして世界中の⼦ども たちに素晴らしい体験を届けたい──彼の⾏動は、その想いに⽀えられているように感じる。 このような想いを原動⼒に⽴ち上げられたのが「Piece」であり、組織の在り⽅や判断の軸にも、彼の 思想が⾊濃く反映されていることは間違いない。

 ⼩松原学という男を私なりに分析すると、

 ・常⼈離れしたタフさと対応⼒
・ずば抜けたコミュニケーション能⼒
・鋭い感性に溢れた思考⼒
・⼈⽣を楽しんで⼈を愛する情熱家
である。このような⼈が⼦どもたちを連れて育成をするのだから頼もしいに他ならないだろう。 

○出会い

まず、最初に私と⼩松原⽒との出会いは 5 年前の B 級ライセンスである。そこから繋がり、サッカーの 活動を通して連絡をたまに取り合う関係になっていった。 初対⾯の印象は、 率直に⾔って「クレイジーで、 ゴツい⼈」。雰囲気はどこか軽やかで、堂々としており、⻭に⾐着せぬ物⾔いが印象的だった。発する⾔ 葉には芯があり、「この⼈はただ者ではない」と感じたのをよく覚えている。後から聞けば、元最年少 J リーガーの記録もあり、 世代別⽇本代表のキャプテンになっていたというのもあり、その実績にも納得が いった。 ただし、それらはあくまで表⾯的な⼀⾯に過ぎなかった。 彼の本質は「仲間を⼤切にする」 姿勢 にある。 講習中も、 チューターに対して感じたことはしっかり伝え、 周囲を笑わせながらも、しっかりと 本質を捉えた⾏動を取っていた。 場の空気を読み、 バランスよく⽴ち回る⼒、 対⼈関係における繊細な直 感⼒を持っていると感じた。 実際、 ライセンス取得後、 私の勤める学校が過去に⽔害の被害を受け、 サッ カー部の⽤具がすべて⽔没してしまったことがあった。その際も、 ⼩松原⽒は誰よりも早く現地に駆けつ け、 クラウドファンディングを⽴ち上げて資⾦⽀援を⾏ってくれた。 本当に⼼から“熱い”⼈物だと、その ⾏動を通して感じた。

 もちろん、 彼にも譲れない⼀線がある。 筋の通らないことや中途半端な姿勢、 媚びている態度、 柔軟性 のない考え⽅には⾮常に厳しい。だが、それも彼の誠実さの裏返しなのだろう。 何よりも印象的だったの は、 講習をとにかく楽しんでいたこと。その姿に引き込まれ、 我々受講⽣も⾃然と学びを楽しむ空気が⽣ まれたのだった。

 そんな彼から、「ドイツの国際⼤会に出場する予定があるので、ぜひスガちゃんのスクールからゴール キーパーを出してみないか」と声をかけていただいた。 最終的には、 時期的な都合で選⼿の派遣は叶わな かったものの、代わりに私⾃⾝が帯同するという形で話がまとまり、今回の同⾏が実現したのである。

 

○実際に同⾏して感じたこと

実際に彼と⾏動を共にし、 仕事をして改めて実感したのは、 ⼩松原⽒の「繊細な気遣い」だった。 普段 の彼は、 ⻭に⾐着せぬ物⾔いで“物申す”タイプに映るかもしれない。しかし、その発⾔や態度は、 誰にで も向けられるものではない。 相⼿の姿勢や態度を⾒極めたうえで、 必要とあらば厳しい⾔葉を投げかける。 その⼀⽅で、相⼿が誠実であれば、細かな部分まで⼼を配る⼈物でもある。

特に印象的だったのは、 国や⽂化が違う中でも、 誰とでも⾃然に交流し、 信頼関係を築いていく姿だ。 その源には、 彼の“配慮と適応⼒”があるのだと思う。だからこそ、 彼は世界中で多くの⼈に好かれ、 信頼 されるのだろう。 

また、驚いたのは彼の「体⼒」と「前向きさ」だった。ほとんど寝ていないにもかかわらず、翌⽇には誰 よりも元気に動き回る姿に、こちらが圧倒されたほどだ。そして、帰国の⾶⾏機では 10 時間以上眠り続 けて“冬眠”している様⼦に、彼の動物的な回復⼒を感じた(笑)。冗談はさておき、こうした無理を⽀え る原動⼒のすべてが、⼦どもたちに素晴らしい経験を届けたいという強い信念にあることは間違いない。

 本題へ-Piece の国際遠征 3つの魅⼒について-

(3つの魅⼒の前に) ・他社との違い

まず、他社が提供する海外遠征では、以下のようなケースを⽿にすることが多い。 • 試合相⼿がアカデミーではなく、街クラブだった • 観光は名所を素通りするだけ • 宿泊先が安宿で不安だった • 想定していた内容と⼤きく違った これは私も今回経験してわかったことなのだが、外国⼈を相⼿にした際、かなりの⾼確率でこのような ケースがあるという事実である。これは⽇本の⽅が、ということではなく外国⼈の気分屋な気質、また は、 ルーズさ、 計画性に⽋ける、 契約のやり取りの中でもしかしたら隙がある(上⼿くあっちサイドの都 合がいいように⾏われる、または解釈の相違) ケースが多いことが理由の⼀つであると感じる。だから現 状このような中で、存在するパターンは2パターンであると私は感じている。 そうした中で多くの遠征プランは、2 つのタイプに分類される。

 
1.完全パッケージ型:スケジュールが固定されていて、⾃由度が⼀切ない 
2. 柔軟性はあるが計画性が低く、イレギュラー対応に難がある型 

前者は安⼼感こそあるが、スケジュールに余⽩がないため、試合の空き時間に観光すらできず、ホテル に⽸詰めという状況になりがちである。実際にスペインに⾏った私の⾝近な⼈からこんな話しも聞いて いる。「⼩学5年の息⼦がスペイン⾏ったのだが、ホテルと⼤会を⾏き来するだけで試合がない時間はず っとホテルに居たため、そんな感じなの?ってなんか勿体無いし可哀想だった」と。 ⼀⽅後者のパターン は融通が効くので⾊々やろうと思うが時間と労⼒を考えた際、現実的にあまり良いものを提供できない という懸念が多く⾒られる。 例えばホテルの周りが⽥舎だった。 ⼤会が指定したホテルが遠⽅だった。 何 かするにも交通⼿段に無理がある。など機転を効かせるのにハードルがかなり⾼いケースが多い。そして そもそもイレギュラーがあった時点でかなりの労⼒が奪われるのである。現地での予測不可能な事態に 対応できず、結果的に満⾜度が下がることが多いのである。

 では、Piece は何が違うのか。

 Piece は、後者の「柔軟型」を選びつつも、現地対応⼒が⾶び抜けて⾼い。

つまり、スケジュールの柔 軟さと、 対応の質という“両⽴が困難な⼆兎”を⾒事に追っているのだ。たとえば、 今回のドイツ遠征では、 ⼩松原⽒が⾃ら⼤型のワゴン⾞をレンタルし、空いた時間があれば即座にブンデスリーガの試合や世界 遺産の⾒学に向かうなど、まさに「動く遠征本部」のような形で運営していた。 選⼿たちに少しでも多くの経験をさせたいという想いが、ハードワークとなって現れていた。このよう なフットワークと判断⼒は、現地を熟知し、なおかつタフで柔軟な⼩松原⽒だからこそ可能な芸当であ る。同じことを私⾃⾝がやろうとしても、おそらく到底できないだろう。

つまり例えるならば、他社は豪華旅客船に何倍もの費⽤を叩いて乗り込み世界を周遊する。船は安定 し、 守られて景⾊も観ることはできる。ただ、 ⽬的地以外はもちろん降りることはできない。 船内で同じ ⽇本⼈同⼠で時間を潰し世界を観る。これはこれで魅⼒的だと思う。⼀⽅、Piece の遠征は、⼩型の探検 船での航海だ。 最低限の荷物と頼れる航海⼠ (=⼩松原⽒) を乗せ、 時に荒波に揉まれながらも、 ⾃分た ちの意思で寄港地を選び、無⼈島で探検し、釣った⿂を⾷べ、他の船と出会えば交流する。 ⽬的は「旅そのもの」ではなく、「旅の中で得られる経験」なのだ。 この違いこそが、Piece の唯⼀無⼆の魅⼒であり、他社との差別化が明確にできている部分だと私は確 信している。そこに魅⼒を感じてもらえるのではあれば⾶び込まない⼿はないだろうと私は思う。 そもそもなぜこのようなマインドで動けるのか。選⼿ファーストで動けるのか。それはこの組織のミッ ションが明確であるからである。

・Piece の魅⼒① 国際経験への想い-選⼿ファースト-

それは何か、 この組織は⽬的として 「本当に⽇本の⼦どもたちの育成をなんとかしたい」という想いからスタートしているのだ。 恐らくその 想いで動いている⼤⼈はもしかしたら⽇本でもいるかもしれない。ただ、

 • 元⽇本代表の経歴を持ち、
 • ⾃ら A 級ジェネラルライセンスを取得し、
• 地元でチームを⽴ち上げ 、強豪クラブへと育て上げ 、
• 国際⼤会の意義を感じたら、⾃ら現地へ⾜を運び、
• ⽬で⾒て確かめ、交渉し、
• その舞台を⽇本の⼦どもたちのために⽤意する──

ここまで実⾏している指導者が、 果たして⽇本に何⼈いるだろうか。 少なくとも、 私は他に聞いたことが ない。 今、 国際遠征や国際⼤会に斡旋する会社はほとんどが⽇本⼈の好むスペインが選ばれているが、 piece の 実績としてはスペインだけでは留まらない。その実績として今回のドイツの⼤会もそうだが、piece は⽇ 本で(⺠間企業で) 前例がない国際⼤会への出場をもぎ取ってきている。たとえば、 ドイツの国際⼤会で いうと piece は今回のハーティンカップ(ブンデスリーガやデンマークのクラブチームの強豪下部組織が 出場する)と冬に⾏われるフットサルのユーロカップ(ブンデスリーガ、プレミアリーグ、セリエ A の強豪下部組織が出場する⼤会)の出場権を持っている。⽇本チームは無論どこも出たことがない。ド イツ⼈の“外からの受け⼊れを容易にしない気質”を⼩松原⽒の⼈柄や説得⼒で掴み取っているのである。 そのほかにもスウェーデンで開催されるゴシアカップやブラジルの国際⼤会など様々なサッカー⽂化を 現地にいき⽬で⾒て交渉している。 そして選⼿ファーストでいられる所以の2つ⽬の理由としては、この組織で⽣計を⽴てている訳では ない。というところもあるだろう。 ⼩松原⽒⾃体、 柔道整復師、 鍼灸師、 トレーナー、 サッカー指導など 多岐に渡ってビジネスを⾏なっている。だからこの事業で儲けよう!というマインドがそもそもない。 「利益第⼀主義ではない」という点だ。実際に今回私が帯同したドイツも 4 名の⽇本⼈が⾏っただけな ので実質ほぼ⾚字である。 通常であれば「採算が取れない」として中⽌されるケースだが、 ⼩松原⽒は迷 うことなく実施を決断した。 彼の原動⼒はつねに「⼦どもたちのため」「参加するご家庭のため」「現地で待っているドイツの仲間たち のため」「応援してくれる⼈々のため」という多⽅向の想いである。 その証拠に、⼩松原⽒⾃⾝がドイツ国内で運転した距離は、なんと約 2,000km にのぼった。これだけで も、彼の覚悟と実⾏⼒の⼤きさが伝わるはずだ。 では、Piece の魅⼒の残り2つは何か、それは教育的観点からの学びを⼤事にするということ、サッカ ーの⼤会のクオリティや現地のサッカーの⽂化に染まってもらうためになるべく現地の指導者・選⼿に 関わってもらうという点が挙げられる。では、この2点についてより詳しく解説していこう。

・Piece の魅⼒のその② 教育としての価値─ 「気づき」と「⾃発性」を育む場

私が考える教育とは、「⾃らが気づき、⾃らが思考し、⾃らが学び、そして⾏動すること」だ。だから こそ、 教育者の役割とは、 ⼦どもたちが⾃ら気づける環境を整え、そっと⾒守り、 必要なときにだけサポ ートを差し出すことにある。

反対に、 与えられすぎる教育──つまり「⼿取り⾜取り教えること」は、 確かに⼀時的な成果を⽣むかも しれないが、 真の学びにはつながらない。なぜなら、 受け⾝の学習は⼦どもの中に深く残らないからだ。

この Piece の国際遠征が、 教育的に⾮常に⼤きな刺激を与えるものであることを、 私は強く実感してい る。私⾃⾝、2 ⼈の⼩学⽣の⼦どもを持つ親でもあるが、今回の経験を⽬の当たりにして「すぐにでもこ の体験をさせたい」と本気で思ったほどだ。

 Piece の遠征では、 指導者があらかじめ何かを“与える”のではなく、 ⼦どもたち⾃⾝が「気づく」 ことを 重視している。たとえば、 今回の遠征では、 ⽇本⼈選⼿がドイツの街クラブ(現地在住の⽇本⼈監督が率 いる)と混成チームを組み、 初⽇から現地の選⼿と合流し、 ⼣⾷を共にし、 宿泊先では三⼈部屋で⽇本⼈ 1 ⼈とドイツ⼈ 2 ⼈という構成で⽣活を共にした。これは⼀般的な遠征ではほとんど⾒られない構成で ある。多くの遠征では「安全⾯への配慮」から⽇本⼈同⼠で固める傾向がある。実際、「休まらないので は?」「トラブルが起きたら?」といった不安は当然のものだろう。 しかし、Piece では信頼できる⼦どもたち同⼠だからこそ、あえて国を超えた交流の場を作る。その結 果、⼦どもたちは⼤⼈以上の柔軟性と適応⼒を⾒せ、 ⽇に⽇に英語⼒を伸ばし、 現地選⼿と⾃然に打ち解 けていった。サッカーを通せばトレーニングやトレーニングマッチを通して様々なコミュニケーション や信頼関係が⽣まれ互いの距離が縮まっていく姿も⽬の当たりにし、とても良い経験ができていると感 じた。 点を決めたり、 ⾝体を張ったり、 ナイスプレーをすることで⾔語以上の 「⼼のやり取り」 が⽣まれ、 仲が深まっていく姿は感慨深いものがあった。

⾔葉を超えてつながる──それが、スポーツの⼒なのだと私は、感動すら覚えた。

また、サッカーを通しての異⽂化交流だけでなく、⼩松原⽒の想いで現地の観光や⾷の経験にも強いこ だわりがあった。⼩松原⽒に話しを聞くと

「サッカーだけやるために海外に⾏くのはこれからの彼らの⼈⽣にとってもったいない こと。もちろんサッカーにもこだわった上でだが、せっかく海外に⾏くんだから現地の⼦ どもたちや⼤⼈と触れて、世界遺産や街並み、⾃然を⾒て、美味しい⾷べ物を⾷べてどん どん感性を磨いてほしい。それが 5 年後、10 年後⾃分達が⽣きる上で何かのヒントに必 ずなると信じている」

と仰っていてとても印象的であった。

 例えば今回でいうと、街並み散策ができた場所はノイス、ケルン、フランクフルト。ヒュルホルシュト では、 菜の花畑で写真撮影、 サッカー観戦はブンデスリーガ 2 部と 3 部の試合観戦、⾷はケバブ、カリー ブルスト、ハンバーガー、ピザを始めホテルの朝⾷ではオーガニックの蜂蜜やヨーグルト、チーズやドイ ツパンなどを⾷した。 建造物ではケルン⼤聖堂、 マインタワーなどである。 チケットやおみやげ 、 昼⾷を 買う際はなるべく⼦どもたちにトライさせるなど多くの経験をすることができていたと感じる。 「⾃分で やりなよ!後ろで⾒てるから!」などよく彼が⼝にしていた。


 つまり、 ⼩松原⽒本⼈が教育を⼤事にしたいと声を⼤にして仰っていたわけではないが、 彼の想いを纏 めると、いろんな経験から⼈⽣の学びを得てもらいたいとしっかりと感じることができた。

⽇本の教育 現場はこのような体験は必要と思っていても、 体験させることができないのが実情である。ただ、 これか らの時代、ますますグローバル化やダイバーシティの状況で適応することを求められると考えるとこの 経験は貴重であり、 サッカーというカルチャーを通してだからできることなのではないかと。 さらにいえ ばそこに⽐重を置いている piece だから可能にしているのではないかと感じた。

通常の語学留学のような ホームステイであれば⽣活や⽂化 ・⾔語に密着できるが、 団体⾏動での交流や同じ⽬標に向かって活動す ることや 、 スポーツを通しての学びは得られない。 従来のサッカー国際遠征となると、 ⽇本⼈だけで⾏動 し、 外国チームと試合をすることのみに⽐重を置いていて、 国際交流や観光、 ⽣活に触れると⾔うことは ごくわずかである。

⽇本⼈の組織の中で囲まれているためサッカー外の学びがあまりできない。そう考 えると、piece 事業のこの経験は唯⼀無⼆の経験ができているのではないかと、つまり前述したように教 育という観点から⼤きな刺激を与えていくと私は断⾔したい。 (もちろん、piece の国際遠征にも⽇本⼈ だけで⾏動し、 ⼤会に出るものもある。ただ、その中でも⼯夫し、より国際交流や⽂化に触れる機会を多 く創出してくれる)

・Piece の魅⼒のその③サッカーの成⻑としての魅⼒

Piece の国際遠征がサッカー⾯でどのような成⻑をもたらすのか。この点については、「間違いなく成 ⻑がある」と私は断⾔できる。ただし、その成⻑のかたちは、 参加する選⼿⾃⾝、 そして保護者の受け取 り⽅によって変わる。 たとえば、他社の遠征では、「現地で試合を数多くこなすこと」に重点を置いたプログラムが⼀般的だ。 トレーニング → マッチ → ⼤会 → またトレーニング……といった具合に、とにかくプレー時間を増 やし、「どれだけ海外に通⽤するか」「戦えるか」を短期間で測ろうとする。 確かに、 即効性があり、 プレー機会が多いことによる成⻑もある。だが、それは「試合経験重視型」 と⾔ えるアプローチであり、Piece とは少し⽅向性が異なる。

⼀⽅で、Piece では、⼩松原⽒が⾃ら「対戦相⼿を厳選」している。これは「勝ちを重ねるための遠征」 ではなく、むしろ**“現実を知るための遠征”**だ。

 強豪クラブの下部組織と戦う中で、 ⽇本の⼦どもたちはいわゆる“カルチャーショック”を受ける。 スピ ード、フィジカル、 戦術理解、 そしてプレーの意思決定の速さ──そのすべてが、 ⽇本の基準とは異なる。

 本来なら絶望するのでは?と⼤⼈なら想像してしまうが、 だが、 興味深いのは、そうした環境にあっても、 ⼦どもたちは必ず順応しようとするということだ。試合のたびに少しずつ修正し、⾃分の中のスタンダ ードを上書きしていく。その適応の早さは、むしろ⼤⼈よりもはるかに柔軟である。

また、 Piece では可能な限り、 現地の指導者と関わり、 現地基準での評価を受ける機会をつくっている。 これは⾮常に重要な要素である。

 だから決して乱暴なオーガナイズとは感じない。 恐らく、 観光の中に必ず含まれる⽇本⼈選⼿が在籍す る現地のサッカー観戦によって現地で孤軍奮闘する⽇本⼈選⼿を観ることで⾃分に照らし合わせ感じる 機会があるから刺激を受けているのもあるかも知れない。

 そして極⼒現地の指導者に触れて現地の評価を求めるということ。⽇本⼈の評価基準ではなく現地の 評価基準を感じてもらう。Piece は基本的にはセレクションということを⾏わない

⼩松原⽒は「そも そも我々指導者が世界を知っていない。ヨーロッパで通⽤する選⼿を育てたいと思っていながら、 我々の価値基準で上⼿い選⼿をピックアップし海外に連れて⾏っても⼦どもたちが勘違いした状況から ⼊っていくから何もできない⼦が多い。 ⼩学⽣なんて今後どうなるかみんなわかんない。だから やる気あってその環境に⾶び込んでみたい!って思う⼦にもチャンスを与えて経験させたり、 ⼤事にしてみていいんじゃないか。 案外プライドもないから素直に順応して戦えたり、それがキッカケで ⽇本に戻ってきてから県で No.1 プレーヤーになった⼦も中にはいる」という。

この発⾔をこれだけの経 験がある⼈が⾔うのであるから感慨深い。⾔葉の重みを感じざるを得ない。 『育成』だからこそいろんな ⼦たちにチャンスを与えたいという想いが強いのだろう。

 そして⼤会が終わり帰国した後のアフターフォローとして全ての試合動画を参加者⼀⼈⼀⼈の家庭に 配布している。 これは他社ではどこもやっていない。不定期ではあるが、 過去に参加した選⼿にヒ アリングや 、オンラインで過去の参加者集めてフィジカルトレーニングを⾏うなどアフターフォローも 惜しまない。 つまり、piece のアプローチは

『育成に特化しているということ』

他社とは違うと いうのはお分かりいただけたであろうか。このようなアプローチを⾏いサッカー選⼿としての成⻑を促 すと⾔うことである。

−最後に−

今後、国際遠征を考えている保護者・指導者の皆様へ 本気で“育成”を考える指導者の皆様へ もし、あなたが本気で「育成」を考えているなら、 ⼦どもに「世界を⾒せたい」と願う保護者であるなら、 「技術だけではなく、⼼の成⻑」を重視する指導者であるなら── Piece の遠征は、きっとその想いに応えてくれるはずです。

 なぜなら、Piece の遠征には、次のような価値観が根付いているからです。

 • 華やかさではなく、「リアルな経験」を⼤切にすること
• 成果だけでなく、「過程」を⾒守ること
• 成功体験だけでなく、「悔しさ」も成⻑と捉えること

それらはすべて、「選⼿の未来を⾒据えた⾏動」であると私は感じています。 こうした「⼈としての深い成⻑」にこそ、この遠征の価値があると私は信じています。 これから国際遠征を検討している保護者の皆さま、あるいは「国際経験とは何か」と興味を持たれている 保護者・指導者の皆さまへ、お伝えしたいことがあります。 中学⽣になると、受験や所属チームの事情などで、個⼈での国際遠征は現実的に難しくなっていきます。 だからこそ、私は伝えたい。 「⼩学⽣はまだ早い」と思うかもしれませんが、実は“今”だからこそできることが、確かにあるという ことを。 Piece という組織は、決して⼦どもたちを“商品”として扱うものではありません。 そこには、⼦どもたちの未来を真剣に考える、本物の⼤⼈たちの熱意と⾏動があります。 だからこそ、 Piece を「ただの海外遠征プラン」 として⾒るのではなく、 ⼦どもに関わるすべての⼤⼈が “育成のパートナー”として活⽤していくことが望ましいと、私は強く思います。 本稿をお読みいただいた保護者・指導者の皆さまにとって本稿の内容が少しでもこれからのサッカーを する⼦どもたちの未来を育むための情報や考え⽅、 ⽅法 ・⼿段の引き出しとしてお役に⽴てていたのであ れば幸いです。 皆様の今後の活動とお⼦さまの成⻑を、⼼よりお祈り申し上げます。 最後までお時間を割いてお読みいただき、誠にありがとうございました。